月物語 ~黒き者たちの宴~



言葉には不自由ない。



異世界で言葉がわかるというあの設定は、どうやら本当らしい。



漢字なら、新しい世界でも親しみを持てる。



「随分に肝の据わった女子よのう。-いや、王か。」



「いえ、そんな。」



と答えつつ、それは当たり前だと心で呟く。



「ですが、やはり、私は王なのですか?」



武則天は、ちらりと鰯を見る。



鰯は視線を感じてびくりと尻尾を震わした。



「礼殿、あなたは賢い。
だからお話申し上げる。
花梨、珊(さん)、海(うみ)、下がりなさい。





どこえゆく。
鰯、おぬしは残れ。」





< 42 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop