月物語 ~黒き者たちの宴~
「礼殿は、赤国(せきこく)の国王に選ばれし者。
正確にはまだ王ではないが。
だが、その額の印は間違いなく赤国の王位継承者のもの。」
礼は額に触れてみる。
特に触るものはない。
「これを使うがよい。」
武則天に差し出されたのは鏡だった。
礼は少し鏡を見るのをためらった。
目覚めてから一度も鏡を見ていない。
ひどい顔が予想できたが、今は見ないわけにはいかない。
「あっ。」
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