月物語 ~黒き者たちの宴~
―――――――――――――――――――――
男は珍しく部屋に人を入れた。
弟以外の者が、この部屋を訪れることは滅多にない。
いや、あってはならない。
だから、それだけで話の重要性は大きかった。
「あの場所の、鍵を貸してたもう。」
平気で目の前の女は言った。
男はこの部屋を気に入ってはいない。
登りつめたこの位。
誰もがなれるわけではない。
実力が備わっていないはずがなかった。