月物語 ~黒き者たちの宴~
1章 泰然自若 ~異世界への導き篇~

―1―




冷やりとした風が心地よい季節。



日没は次第に早くなっている。



今日は歩いて帰ろう。



突如浮かんだ考えに、
礼(れい)は従った。



いつものことだ。



感のようなものに
突き動かされる。



それは、いつだって正しいと礼は考えていた。



―みんなもっと私を信じるべきだわ。
誰もわかってない。
本当は凄い人間なのに。
まぁ、あの人たちじゃ私を理解できないんでしょうけど。



大学の帰り道を、長い黒髪を揺らしながら歩いた。



< 5 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop