月物語 ~黒き者たちの宴~
礼は興奮気味に部屋を見て回った。
ふと、入口に黒いうねうねしたのもを見つけた。
「鰯、入ってきてよ。」
鰯は尻尾をくねらせるだけで、部屋に入ってくる気はないらしい。
代わりに、花梨と二人の次女が現れた。
「次女を仰せつかった、花梨と申します。
これは、珊と海でございます。」
三人はかしこまった挨拶をした。
まだ幼いというのに、しっかりとしつけられているのがわかる。
―本当、お姫様になった気分。
胸が高鳴った。