月物語 ~黒き者たちの宴~



不細工だと思った。



一重の目は嫌いだ。



―どうせなら、容姿も変わってしまえばよかったのに。



額の印しが見えるよう、前髪を分けられた。



解いてもらった髪がつやつやしている。



明日になれば、こちらの衣装を来て、こちらの化粧をして生まれ変わる。



寝台に横たわると、眠気が襲ってきた。



女の子なら誰もが憧れる天蓋付きの寝台。



ふかふかで、沈んだ身体が浮かんでくる。



夜着はさらっとしていて着心地が良かった。



朝、また三人が起こしにくることになっている。



そのまま、礼は眠りについた。


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