月物語 ~黒き者たちの宴~



「おはようございます。
さぁ、お召し替えですよ。」



この生活に慣れなければならない。



王になる前に、こちらの生活が体験できて良かったと、心から思った。



王になってから恥をかきたくない。



今日から、鰯が教鞭を執ることになっている。



テーブルに紙と筆が用意されていた。



鰯が部屋に入ってきた。



礼の前で恭しく頭を下げる。



「先生、よろしく。」



礼はからかうように言ったが、鰯から何かが返ってくることはなかった。



これが、王になることなのだと、何となく感じた。


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