ふたりの恋
はい?
《俺と付き合ってくんない?》って??
初対面の人にいきなり腕を掴まれて。
《俺と付き合ってくんない?》って??
「ちょっと携帯貸して?」
その人はあたしの制服のポケットから勝手に携帯を取り出して、
自分の携帯をいじりだした。
あたしはその慣れた手つきに見入ってしまっていた。
「よし。これでOK。俺、広田京真(けいま)。リサと同じ2年だから。」
広田くんって人はあたしの携帯をまたあたしの制服のポケットに戻して言った。
「は・・はぁ・・・」
頭がついていかない・・・・んですけど?
「とにかく、俺たちは付き合うことになったんだから、よろしく。」
「え?!どういうこと?!」
広田くん、頭おかしい・・・??
「じゃぁ、また明日。
あ、俺、メールとかたくさんもらわないと淋しくなるタイプだからよろしく。
挨拶とか、どこにいる~とか、絶対メールしろ!!
ちなみに毎日会いたい派だから。って言っても学校帰りにツレと遊ぶ時もあるから、そん時は夜になるけど・・・」
広田くんは、そう言うとそのまま去っていった。
あたしは、ポカーーーンと口を開けたまま。
・・・ブブブっブブブっ・・・
ポケットの携帯がバイブする。
携帯を見ると、ディスプレイに【京真】と出ていた。
あんな短時間であたしの携帯にも登録してたんだ・・ちょっと感心。
メールを開くと、【さっきの事は必ず守れ!】と一言。
これは・・・夢??リアル??
あたしはそのまま返信する事なく携帯を閉じた。
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その日、あたしは広田くんにメールをする事はなかった。