ふたりの恋
「あの・・・あたしがお願いしたの・・・」



「「へ?何を?」」



「あたし・・・可愛くないし、地味だし・・・でも、京真のまわりには可愛い子ばかりで・・・だから・・・その・・・変わりたいから恭介くんに手伝ってって・・・」



「「・・・は?・・・」」



「あたし・・京真に好きとか言われた事なくて。でも、メールしろとか毎日会えとか言われてて。・・・でも・・・この間、京真、あたしを《彼女》って言ってくれなかったから・・・きっとあたしを人に見せるのが恥ずかしいんだと・・・」



あたしは言いながら、顔を俯かせた。




「この間って・・・あぁ!京真があの子をトイレに連れ込んだときか!!」




・・・京真があの子をトイレに連れ込んだ・・??



「バカ!!ヒロト!!!」恭介くんが大きな声を出した。



ヒロトくんはその声で気付いたのか、しまった!!!って顔をする。



ケンタくんも恭介くんも両手で頭を覆った。




「あ・・あーーリサっち?今のは冗談だから・・・」



ケンタくんが笑って言った。



「そうそう!!ごめん!!冗談きつかったよね?」



ヒロトくんも顔を引きつらせながら言う。




・・やっぱり・・京真にとってあたしなんか・・・ただの暇つぶしだったんだ。



バカみたい・・・京真のことで喜んだり、照れたり・・・頑張ったりして・・・



そうだよね。



京真みたいな人が、あたしみたいな子を相手にするわけないんだもん。



なに勘違いしちゃってんの、あたし・・・





・・・視界がどんどん涙でぼやけていく。



スカートの上でギュっと握られた手にポタポタと雫が落ちて、指の間が濡れる。



「リサっち・・・ごめん・・・」



ヒロトくんの小さい声が聞こえたけど、それに返事も反応も出来ない。






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