ふたりの恋
--------------
「京真・・・いいの?」
「なにが?」
俺は、さっきまでリサが座ってた場所に座って携帯を取り出す。
「リサっち・・・捕まえなくて」
「・・・別に」
ケンタに適当に返事しながら、携帯のメモリーから適当な女を探す。
「・・・あのさ、リサっちさ、京真のために髪型変えたりしたんだって。京真好みの女になりたくて、恭介に手伝ってもらってたんだってさ。」
「へぇ・・・そうなんだ」
・・あ、コイツでいいや。
俺はメール画面をだして、顔と名前が一致しないような女にメールをする。
「京真さ、初めてリサっち見た時、なんでリサっちに声かけた??ナンパなんて絶対しないじゃん、お前。」
「なんとなくだよ。処女とやってみたくてそれっぽいヤツ捕まえただけ・・」
・・・そんなのは嘘。
初めて本屋でリサを見た時、
あの黒いストレートの髪・・・
透き通るような色白な肌・・・
綺麗な大きな瞳・・・
抱きしめたくなるような華奢な身体・・・
リサを包むリサの雰囲気に・・・
一瞬で心を奪われた。
女一人にこんな感情を持った事がなかったから、動揺した。
「なぁ・・」と声を掛けて、リサが俺を見た瞬間。
全身が震えた。
情けねぇけど、初めて恋におちた気がした。
いつもならすぐに甘い言葉囁いて、そのまま女を抱くんだろうけど、
リサにはそれが出来なかった。
出来なかった・・というより、そんな簡単な扱いをしたくなかった。