雨のち晴
「十夜……」
窓の外を眺めている、
十夜だった。
「お、朱里」
「何してるの、こんな所で」
あれ、さっき里菜ちゃん、
外でクラスの子といたよね。
何で、十夜1人なんだろう。
あたしは不思議に思いながらも、
教室の中に入って行く。
「人混み苦手。実際もう帰りたい気分」
「あ~分かる。人が多いのは嫌だね」
教室が薄暗いからか、
いつもと違う感じ。
どう現したら適切なのかは分かんない。
だけど、いつもと何か違う。
「あ、あたしはね、担任に雑用、ほら」
と、ビンゴの紙を見せる。
ここにいることに納得したのか、
頷いて下を向いた。
「十夜、どうしたの?」
何だか様子が変。
いつもの十夜じゃない。
「んー、別に何もねえけど」
「お腹痛い?辛いの?保健室、」
「行かない。心配すんなって」
先を読まれて、少しショック。
でも本当に、違うの。
何かこう、悩んでそうっていうか。
辛そうっていうか。
「ま、朱里に会えたし全部吹き飛んだ」
十夜は小さく笑って、
あたしを見た。
「ここにいたら会えるかなって、思ってた」
十夜が、そんなこと言うから。
あたしがおかしくなる。
こんなにも好きなのに。
頭には里菜ちゃんの顔が
浮かんでは消え、浮かんでは消え。
十夜。ねえ、十夜。
そんなこと、言うの、
反則なんだって、分かんない?
「あ、そういえば十夜誕生日だったよね」
何とか話題を出す。
ずっと思ってた、
十夜の誕生日過ぎちゃったなって。