雨のち晴





「あたし、これ。恵衣はどうせこれでしょ?」






「麗ちゃん、さすが!おばちゃん、これ下さい!」





お前ら、いつもそうだけど。


声でけーな、おい。


俺はそいつらを眺めながら、


何か懐かしいなとしみじみ感じる。


俺が1年だった時、


一緒のクラスだったやつらで、


石黒と中山。


うるさいやつらだけど、


なんだかんだいいやつら。


俺の中では、結構話す方で。





「十夜、何買うの?」




購買の前で選んでると、


里菜がそうやって聞いて来る。


いちいち甘ったりい。





「ん……どうすっかな…、」





なんて言うけど。


別に何でもよかったりするんだけど。







「今日いっぱいあるね!」






「別に。いつもと変わんねぇだろ」





何でこんな態度しか取れねえんだろ。


なんて思うけど。


もっと優しくしてねえかな。


なんて思うけど。


何で出来ないか、なんて。


もう答えは出てて。








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