雨のち晴
こいつを。
朱里を好きだと思ったのは。
結構早めの段階で。
1年の時、同じクラスで。
5月に席替えで隣の席になった時、
教科書を忘れた俺に、
朱里が見せてあげようかと
言ってきた。
俺は別にいいって言ったけど、
先生がないなら見せてもらえって
全員の前で言いやがったから
仕方なく見せてもらった。
思えばその時、初めて
朱里と話したんだと思う。
そこから段々話すようになって。
気付けば名前で呼ぶようになって。
少しずつ少しずつ、
笑い合うことが増えていった。
気付けば、朱里が学校にいなかったり、
体調が悪くて保健室、なんて時。
ふと寂しい気持ちになってて。
何か物足りなくて。
いつの間にか、あいつを
好きになってた。
もうすぐ夏休みに入るって時、
先生にお前だけ補習って言われて。
ふざけんなと思った。
夏休みは、遊びまくる予定だったのに。
朱里がいねーのに、何で
学校来なきゃなんねんだよ。
…いや、待てよ。
だったら呼べばいいんじゃね?
なんて考えた俺は。
朱里に補習手伝って、なんて
らしくない頼みごとをした。
担任に委員会の仕事、
しなくていいの?とまで聞いて、
一緒にいようと思った。
俺、気持ち悪っ。
何やってんだ、とふと我に返って。
それでもまた、
夏休み一緒にいられると思うと。
胸が高鳴って仕方なかった。