雨のち晴
恐ろしいほど、
ギラギラ光った真新しい。
カッターナイフが。
「は、お前、何考えてん…」
「本気なの!」
こんな時でも、耳障りな
甘い声。
俺が聞きてえのは。
聞いていたいのは。
こいつじゃないのに。
「本気で十夜くんが好きなのっ…」
「いや、お前それはやべーって…」
そう言ったら、また
咲坂の目に涙。
女って生き物は。
いや、咲坂っていう女は。
末恐ろしい。
「あたしと付き合ってっ…!」
「分かった。分かったから…」
話し合おう。
そう言いたかった俺。
「本当?本当に?」
付き合おう。
そういう風に解釈した咲坂。
「は…?」
「嬉しい!夢みたいっ…」
いやいやいや、俺のが夢みたい。
まさかあれをそう取る?
何で?