雨のち晴
「ちょっと待てって」
訂正体制に入る俺に。
「…あたし、言うから」
脅しでくる、このくそ女。
「付き合ってくれなきゃ、知らないから」
「は?」
「でなきゃ、昨日のこと言いふらすし、あたし死ぬから!」
あー、言葉が出ないってこういう
時のことを言うのか。
万が一、死なれても。
俺は困んねえし、いいけど。
言いふらされるのは、勘弁極まりない。
「考えさせて」
俺はそう言って去る。
もう疲れた。
あんな女、死んでもごめんだ。
何で好きでもねー女に、
脅されて、
しまいに付き合わなきゃなんねんだよ。
ばかにすんな。
俺はそんなことを思いながら、
家に帰った。
次の日、憂鬱な気分で学校に行く。
玄関で待ってた、俺のクラスの男ども。
「何やってんだ、お前ら」
そう声かけると。
何か怒ってて。
教室に引っ張って連れて行かれて。
言われた一言。
「羨ましすぎる」
は?は?は?
何言っちゃってくれてんの?
何が羨ましいんだよ。
まさか朱里とキスしたことか?
ざけんな、やらねーぞ。
朱里だけは。
「何でお前が里菜ちゃんと付き合ってんだよ!」
「お前、男の敵だな!」
俺が思ってたこと以上のことを
言われて面食らう。
は、何て?
咲坂と付き合ってる?
誰が?俺が?
いやいや、意味分かんねー。
「ちょ、待てって。俺がいつ…っ」
そこにやってきた、
噂の俺の彼女らしき咲坂。
てか、何その顔。
もろ、えへって言ってんだろ。