雨のち晴









だけど…。



花の水やり、は?







「先生、今日…って」







「俺、来週からって聞いたけど?」







何ですと?



来週なんて…、



あ、だけど。



今日なんて言ってなかったっけ。













「じゃ、あたし帰る」






「ちょ、待てって」









十夜に背を向け、ドアに手を


かけた瞬間、後ろから縋るような


声が聞こえてきた。




何事かと思い、恐る恐る振り向くと


さっきと同じ窓際で手を合わせて


こっちを向いている十夜がいる。









「何?」






「補習手伝って。お礼、何でもするから」







目を瞑って、必死にお願いしてくる十夜。


だって、そんな…夏休み、なのに。


せっかくの、休みなんだよ?







「何でも…って、言われても…」





「ほんと何でもする!だから…頼む」







そんな顔されたら…断れないじゃん。








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