雨のち晴





んだよ、どいつもこいつも。


おめでとうじゃねーだろ。


もっと他に何かあんだろ。


そう思って。


あー、好きなのは俺だけだった。


俺が好きなだけだった。


そう思って、自己嫌悪。


痛いな、俺、まじで。


何を返したらいいか分からず。





「ばかじゃねーの、お前」




ごめん、ただの八つ当たり。


今から訂正して…。


そう思った時にはもう遅くて。


傷付く顔は見たくないのに。


少なくとも、俺の一言が


原因なのは確かで。





「ご、めん…」





そう言って、石黒と中山の所に


帰る朱里を。


どれだけ、引き止めたかったか。


どれだけ、抱きしめて好きだって


言いたかったか。


それは、叶うことのない


ことになってしまうのか。





「何やってんだ…」




言葉にならない声で


呟く。


いつだって俺は、


心の中で叫ぶだけで。


伝えたいことはたくさんあるのに、


言えずじまい。


もう、情けなくて、


穴があったら埋まりたい。


もう現状、


生き埋め状態だけど。







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