雨のち晴
「分かった…、仕方ないなぁ」
「よかった…さんきゅ」
そういうと同時に嬉しそうな
表情を見せる十夜。
…あ。
何、これ。
何か変な感じ。
不覚にもあたしは、
嬉しそうな十夜の表情にやられ、
夏休み中、何故か十夜を
意識して過ごしてしまった。
家に帰る度、早く学校に行きたくて。
朝登校する度に、ワクワクなんかして。
好きなんだ、って自覚
し始めたのもきっと
この辺りだった気がする。
休みが明けて、
恵衣と麗華にその話をしたら
やっぱりそうなると思った、と
軽く言われた。
「ずっと応援してるからね!」
と、恵衣に言われ
「ずっと前から、気にはなってたんでしょ?」
と麗華に言われた。
ずっと…前から。
うん、そうだったかもしれない。
初めて仲良くなったあの日から、
あたし
好きだったのかもしれない。