雨のち晴





そう思ってると、


いきなり地面に放り投げられて。


ごつん、と鈍い音。


何しやがんだ、てめえ。


怒りを露わにしようとした時。





「あ、いた!…て、高原さん?」




入口に佇む、里菜がいて。


一気に台無し。


さっきまで、ここ。


俺らだけだったんだけど?





「あ、里菜ちゃん。どうも」





よそよそしくする朱里。


だわな、そりゃ。





「あ、あたし邪魔だよね!ごめん、戻るね」




朱っ、と。


声に出かけて止めた。


あっぶね、俺のばか。


何やってんだよ。





「何?」





じっと俺を見る里菜に、


一言放つ。


あ~、まじで話すことねえ。


こんなでよく、ここまで


もってるわ。


自分、尊敬。






「何してたの?」




「は?何言ってんの?」




俺は必死さを見せないために、


あえて訳の分からないふりで


のりきる。


怖い、この女。


朱里を見る度に、


怒り出す里菜。


朱里と俺が関わることを、


心底嫌う。


そりゃ、そうだろうけど。


でも、嫌う権利、


お前にねーよって。


心ん中で思うわけで。




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