雨のち晴
「何であたしが高原さんのこと好きじゃないって知っててっ…」
「朱里と関わるの?って?」
先に言いたいことを読んで、
言葉を言ってやる。
まじで、ふざけんな。
ふざけんな、ふざけんなって。
「何で俺がお前に合わせなきゃなんねーんだよ」
「だってあたし、」
十夜の彼女でしょ?
真顔で、そう言って。
勝ち誇った笑みを浮かべる。
何で、そんな笑えんだよ。
こんなに俺、冷たいのに。
「もういいわ、疲れる」
「ちょっと待って、十夜。ねえ、言って?」
「何を?」
俺の腕を離すまいと、
必死に掴んでいる里菜。
あ~、まじで。
触れられることに嫌悪感。
「好きって。里菜が好きだって」
そんなことを言って、
泣きそうになる里菜。
その顔を見て、もっと嫌悪感。
嫌にもなるだろ、こんなの。
「じゃあな」
俺は無表情で、そう言い放って、
屋上を出る。
お前なんかに、
安っぽく好きだなんて
言えるかってーの。
俺は階段を下りながら、
くすりと笑う。
最近は、もう、
里菜を見ても何も思わない。
前までは、どうしたら
傷付かないかなとか。
色々考えてたけど。
今は何か、もうどうでもいいかなって。
何か、分かんねえけど。
もういいかなって。
そんな風に思えてきてて。
「鬱陶しい」
そんな言葉まで、
出る始末。
仕方ねえ。
鬱陶しいもんは、
鬱陶しいんだから。