雨のち晴
仮に里菜が俺を好きで。
好きな奴に朝からきつい、って
言われる気持ちって、
どんなだろう。
そんなことを考えて、
俺って神経腐ってんのかなとか
思ったけど。
そんなの初めから知ってる、って。
かき消して。
それからずっと、里菜を
無視してやった。
シャットダウンってやつ。
もう何か、受け付けねえ。
「用意してください」
ピストルを持った先生に
誘導され、コーナーに入る。
100mに出る俺。
走るのは結構好きで、
今日もほぼ走る系の種目ばかり。
ピストルが鳴って、一斉に出る。
こいつら、相手になんねえ。
そう余裕で走っていると。
「十夜~!!頑張れっ!!」
って聞こえて。
ばか、お前。
ペース崩すとこだったろーが。
顔は、にやけっぱ。
よそから見たら、気持ち悪かっただろうな。
走りながら、笑ってる藤田って。
構うもんか、そんなの。
嬉しかったら顔がにやけて、
当然だろ。
結局1位を手にした俺は、
チームに貢献。
テントに戻ると、アナウンスで
騎馬戦の招集が。
朱里か。
イスに座りながら、招集場所を見る。
すぐに見つけた朱里の姿。
体操服がやけに様になっていて。
入場する姿が小学生に見える。
組んでるのを見て驚く。
朱里が上で、勝てんのか?
あいつ絶対遠慮して、
取れねーと思うんだけど。
なんて眺めていると。
始めの合図の笛が鳴って。
しばらくして、
朱里たちの組が崩れた。
もちろん1番上の朱里は、
衝撃が大きいわけで。