雨のち晴
そんなこんなで、
いつの間にか寝てて。
起きたら隣に朱里がいて。
「手当て、終わった?」
保健室内を見ると、
どうも2人きりのようで。
フジ子…は、帰ったか。
「うん、とっくに。十夜が寝てたから、待ってたんだよ?」
「帰るか」
何かぐっとくるものがあって。
何て言うか、
要するに可愛いんだけど。
「あ、俺鞄取って来るから。玄関にいろ、送ってく」
「あー、いいよ。もう遅くなっちゃったし。多分みんないるから」
それを聞いて、思う。
一緒にいたいと思うのは、
やっぱ俺だけなんだなって痛感。
けど怯まないあたり、
やっぱこいつに心底惚れてて。
「待ってるよ、彼女さん」
あー、もう。
あ~、もう。
何でだよ。
そうじゃないだろって。
「だから、大丈夫!今日はありが…、」
送るって言ってんだろ。
何で、いいの?とか思わねーの?
里菜ちゃんなんてどうでもいい。
あたしと帰ろう。
って…、思わねーもんかなぁ。
「ごちゃごちゃうるせぇ。待ってろ」
思わず言ったその一言。
や、でも本音だし。
ごちゃごちゃうるせーし。
送るったら、送る。
もうそれしか考えてねーし。