雨のち晴





3年生が卒業しても、


まだあたしたちは


学校があるわけで。


今日もあたしは、


いつも通り学校へ行く。





「3年生いないと静かだね」




「あたしたちもすぐ3年だよ」





あれから諒司先輩とは、


結構頻繁に会っている。


諒司先輩は春休みだし、


暇だって言いながら


学校まで迎えに来る。


今日もそのはずだった。






『ごめん、今日行けなくなった』





「あ、そうなんですか?」





『ごめんな。急にバイト入ってさ』





申し訳なさそうな声で、


必死に謝る諒司先輩。


そんなことを言わせている


あたしの方が申し訳ない。






「全然気にしないで下さい。大丈夫ですから」






『また連絡する』





そう言って切られた電話。





「何だった?」





「今日来られないんだって」





そっか。


今日来られないのか。


予定、空いちゃったな。





「じゃあ今日は3人でご飯行く?」





「いいね。久々行きますか」






突然決めた予定に、


あたしは胸を躍らせる。


3人でどっか行くなんて、


久しぶり過ぎて嬉しい。


あたしはわくわくしながら、


午後の授業を受けていた。







「どこ行く?」





「いつもの所?」






放課後、校門を出て街の方へ歩く。


夜ご飯には少し早い時間。


だけど、あたしたちは


お腹が空いてそれどころじゃない。


入るお店を決めたあたしたちは、


迷うことなくすぐに入る。






「朱里、もう何ヵ月になるっけ?」





「文化祭終わってからだから、4ヵ月くらいだね」





もう4ヵ月も経ったのか、って。


何か、正直実感ない。


だって、あたしまだ、


好きって言えてない気がする。


それって、何でなんだろう。








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