雨のち晴
それから数日が経って。
みんな普通に接してくれていて。
だけど決して諒司先輩の
話題は出ない。
あたしは、嘘だと信じていた。
だけど、自然と口に
出さないようにしていた。
またあの空気に包まれるかと思うと、
自分でも驚くくらい
恐怖感を覚えていたから。
そしてある日の放課後。
帰ろうとしていると、
諒司先輩から電話がかかってきた。
「もしもし」
『朱里?』
久々に話した気がする。
そして心なしか、
いつもより声がすごく低い。
『まだ残ってる?』
声が聞いたことないくらい怒ってて。
あの噂の後だから、
何だか余計怖くて。
「もう帰ろうかなって思ってた所です」
『今から学校行くから待ってて』
「え、ちょっ…」
突然切られた電話。
こんなこと初めてで、
少し困惑。
そこへ恵衣と麗華が来て、
事情を話し、一緒に
玄関で待つことに。
「後ろうるさかったんだよね」
「何で?誰かといたのかな?」
「分かんないけど、何かがやがやしてて」
周りから生徒が少なくなった時。
校門の向こうに複数の人が見えて。
そこに見えた人は、
諒司先輩と、真太先輩と、健先輩。
2人の女の人。
そして、女の人を掴んでいる
男の人たち。
「何、ちょっと」
「分かんない」
玄関の段差から立ち上がり、
あたしたちは固まる。
今から行くって言ったよね?
何のために?
「とりあえず行こう」
麗華の声であたしたちは
動き出す。
男の人たちは、
大きな声を上げていて。
女の人たちは金に近い髪色で、
露出している。
「朱里、ごめん」
諒司先輩が中から出て来て、
あたしの前に立つ。