雨のち晴
「ちょっと、諒司先輩。これ、どういうこと?」
諒司先輩と同じように、
真太先輩も健先輩もこっちに来る。
麗華は普通だったが、
恵衣は少し動揺していて。
「朱里を襲った犯人、捜すのに手間取った」
「犯人…?」
「こいつらのせいだった」
諒司先輩がそう言うと、
後ろの男の人たちは、
乱暴に女の人を地面に叩き付ける。
よく見ると、顔にあざ。
体にもあざや擦り傷。
「お前ら、謝れや!」
「黙ってんじゃねぇぞ!」
学校の入口で、
大声で叫ぶ男の人たち。
あたしは周りの注目する視線が、
すごく痛かった。
「何か言え」
「このままで済まされると思ってんのか」
諒司先輩と真太先輩が詰め寄る。
どうしてこんなことになっているのか、
よく分からない。
麗華は怖いと震える恵衣を、
しっかり抱きしめていて。
「…んで。何でお前なんだよ!高原朱里!」
「高原だけじゃねぇ!そこの2人も、どうにでも出来んだよ!」
どうやら、あたしだけじゃなくて、
恵衣や麗華にも恨みがある様子。
「お前らがいなかったら、うちらが1番諒司たちと仲良かったんだよ!」
「まじてめーら、消えろや!」
そうだったんだ。
あたしたちが、諒司先輩たちと
仲が良いから。
嫉妬されて、あんなことされたんだ。
2人の女の人は、
本気でキレていて。
それを見て、堂々と周りの
男の人たちは女の人を蹴る。
あたしは思わず、
その間に入った。
蹴ろうとしていた人は、
あたしが入って来たのに気付き、
咄嗟に足を避けたが避けきれず、
あたしの肩にぶつかった。
衝撃が強く、あたしは地面に
しりもちをついてしまう。
「朱里!」
麗華の声が響いて、
それと同時に恵衣の声が聞こえた。
「藤田…っ」
悲痛に聞こえる恵衣の声が、
耳から離れない。
瞬間、そこに。
「丘谷さん」
十夜が現れた。