雨のち晴
14話 ◆曲がらない想い
文化祭が終わって、
学校に行くと噂でいっぱいで。
俺を好きだったはずの朱里は、
いつの間にか丘谷と付き合っていた。
あれだけ有名なら、
噂になることもおかしくない。
だけど。でも。
今回のことは異例だろ。
てゆーか、朱里と付き合うって。
丘谷と付き合うって。
結局丘谷の思う通りになって。
俺がこういう風にした。
俺が招いた出来事だから。
でも、やっぱり。
悔しくて仕方ねぇ。
「十夜、彼女」
「…さんきゅ」
クラスの奴に笑って礼を言う。
俺だって朱里と丘谷が付き合った日に、
別れてるのに、噂すら流れてねぇ。
未だに、咲坂は俺の彼女の座に
居座ってる。
「十夜、あのね!」
そう言って、
2枚チケットを取り出す。
「今度の日曜にね、ライブあるんだって。チケット取れたから、一緒にどうかなって…」
この女の顔を見る度、
自分のしたことへの悔いが増す。
こいつに悪かったな、じゃなくて、
朱里に申し訳ないなって。
「いや、無理です」
「やだ、無理ですなんて。他人行儀な言い方して、どうしたの?」
くすくす笑う、
咲坂にイラっとする。
もう話もしたくない。
「十夜、じゃあ来週は?あのね、」
「咲坂。もうやめてくれ」
真剣な顔で言っても、
うるうるとした瞳を
引っ込めない。
俺はそんなものに、
なびいたりしないのに。
「もう俺とお前は、」
「あたし言ったよね?別れないって。ちゃんと聞いといてよ」
咲坂はそれだけ言って、
チケットを引っ込めると
教室へ戻って行った。