雨のち晴
それから日が経って。
「最近里菜ちゃん来ねえな」
「え、何!珍しく喧嘩?」
中学からのくされ縁の、
輝(テル)と力哉(リキヤ)。
クラスも一緒で、
ずっと一緒にいる。
「別れた」
「は?まじ?」
「何で!理由聞かせろよ、あんないい子」
この2人には、
腹割って何でも話せる仲。
嘘も付かねえし、
騙すこともねえ。
だけどどうしても、
咲坂と付き合った理由を
言いたくなかった。
言ったって、
どうしようもなかったし。
だけど、別れた理由聞かせろって
言うもんだから。
「聞くか?別に言ってもいいけど」
「言えよ、気になんだろ」
「5分や10分じゃ話せねーよ」
俺がそう言うと、
決まりだ、と勝手に騒ぎ。
「じゃあ俺ん家で話そうぜ」
「丁度明日も休みだし、泊まりでいいだろ。な!」
「しゃーねーな」
もうそろそろ話してもいいか。
そういう気になったのは、
もう怖いものがなくなったから。
「別にあいつのこと、好きじゃなかったから」
輝の家で晩飯を食って、
輝の部屋で暴露大会。
2人は俺の話を真剣に聞きながら、
終始驚いているようで。
「そんな始まりって…」
「でも、あの里菜ちゃんがそんなこと…」
言わねえとでも思ったか。
あいつは。咲坂は。
にこにこして、好き好き言ってる。
そんな風に見えてたのか。
「自分の前で腕切られてみろ。震えるぜ?」
「お前、そんな奴とよく一緒にいたな」
「俺、引いたわ」
だろ。そうだろ。
でも、あいつも、
いつも悪いわけじゃねえし。
そう言うと、2人は
小さく笑っていた。
「でも、里菜ちゃんと別れてまで、好きな女って誰だよ」
「は、お前分かんねえの?」
「え、お前分かるの?」
輝と力哉はお互い言い合いをする。