雨のち晴
いつもそう。
輝は能天気というか、
楽観的な奴で一緒にいると
楽しい男。
力哉は気が効くし、冷静で
頭が切れる男。
丁度いいバランスの3人で、
ずっと一緒にいた。
「隣のクラスの高原さん、だろ?」
「…なるほどな。力哉、頭いいな。で、どうよ、十夜」
勘のいい力哉と、
それを知った輝に向かって
大きく頷く俺。
「でも、高原さん、3年の丘谷と付き合ってんだろ?」
「あー、だよな。噂になってるもんな」
やっぱりみんな知ってんだよな。
噂に、なってんだよな。
かっこ悪ぃ、俺。
自分のせいでそうなってんのに。
聞いて、へこんでやがんの。
「でもまあ、応援するよ」
「奪えよ、丘谷から!な、十夜!」
目頭が熱くなった。
ジュースで酔った気分。
片想い上等だ。
あいつのためにしてやれるなら、
何でもする。
俺にはもう、
怖いものは何もないから。
「でもさ、そんなこと平気でするんだろ、里菜ちゃん。これからとか大丈夫なのか?」
力哉は心配そうに、
俺を見てそう言う。
「正直分かんねえ。何されるかも分かんねえ」
「絶対何かしてくんだろ」
「確かに。やりかねんな」
きっと、咲坂は何かする。
予想も付かないことを、
してくるかもしれねえ。
だけど、俺は。
「絶対守るよ。朱里のこと」
守り切る。
何が何でも、誰がどうなっても。
朱里だけは、守りたい。
それが、今俺がしてやれること
だと思うから。