雨のち晴
「あ~…っ!」
青空が広がっている。
屋上はあたしの休息場。
「泣いた泣いた…」
保健室を出たあたしは、
教室に戻ろうとしていたはずが
たどり着いたのは屋上だった。
サボりたかったわけじゃなかったけど、
休息をする時間がほしかった、みたいな。
「ね、むた…」
日差しが温かくて、
あくびを1つ漏らした。
十夜に会いたい、なんて
考えながら。
あたしは知らない間に
眠りについていた。
夢を見た。
「朱里…起きろ」
え?誰?
「こんな所で寝てるなよ」
こんな…、って屋上のこと?
「ほら、起きろ」
やだ…もうちょっと。
「朱里…」
な、なに…
ひどく愛しそうに
あたしの名前を呼ぶ誰か。
「好きだ」
十、夜…十夜?