雨のち晴
強制的に学級委員にされ。
いやいや進行させられる。
ま、朱里もだからいいか、
なんて思うあたり、
どんだけ好きなんだよって呆れる。
「飯食ってこーぜ」
「おう」
結構喋る野郎どもばかりで、
自動的にみんなで飯を
食いに行くことに。
席を立って鞄を持って。
後ろで鞄の整頓をしている朱里を見て。
「わっ、」
思わず頭を撫でてしまった。
軽く小突くはずが、
触れたくなって。
他の野郎どもに牽制の意味も込めて。
だけど、野郎どもはばかだから。
「何!ちょっと!」
「朱里ちゃん、こいつとデキてんの?」
なんて大声で言いやがった。
何でそうなる。
冷静に俺は思っていたけど、
朱里は困って下を向いていて。
一瞬で焦ってテンパって。
「ちげーよ、ばーか」
淡々と。
ただ淡々と。
「丘谷さんのだよ、手出すなお前ら」
思いがけない言葉を口にした。
違う、別にそう言いたいんじゃなくて。
でもどう言ったらいいか分かんなくて。
思わず出たその言葉に。
野郎どもは少しびくついていて。
教室を出る時に少し振り向くと、
申し訳なさそうにばいばいと言う
野郎どもに、悲しそうに、
必死に言葉を返す朱里の姿を見て。
俺って最低だと思った。
「にしてもさ」
「あ?」
「朱里ちゃんって、本当に丘谷さんの彼女だったんだな」
野郎どもの1人がそう言って、
俺は箸を止めた。
「そうだけど」
「丘谷さん怖ぇじゃん」
「だよな。あの先輩の連れも怖いし」
こいつらの話によると、
丘谷とその周りはいい噂がなく。
喧嘩はしょっちゅうしてたり、
1人の女連れて歩いてる所を
見たことがないと言う。