雨のち晴
「ってか、お前…授業いいのかよ」
あたしが座っている隣に
腰を下ろした十夜は、
あたしを横目で見て
呆れ口調で言葉を放つ。
あたしは、十夜には言われたくない
なんて考えながら平静を装う。
「全然。あたし、天才だから」
そう口にすれば、
バカにしたような顔つきで
こっちを見る十夜。
それを見たあたしは、
怒りが段々込み上げてしまう。
「ちょ…、何よその顔!」
「別に。天才そうだな、って」
本当に失礼な男だ。
傲慢で勝手で、
自由で気ままで。
着いて行くのがやっとの
男が、どうして好きなんだろう。
「悪ぃ、寝かせて」
「ん…。って、え?寝るの?」
十夜の言葉に関心がなかった
あたしは、即返事をし
即疑問を投げかけた。
答えなんて返ってくるはずもなく、
聞こえてくるのは規則正しい
十夜の寝息だけだった。