雨のち晴
「あ、朱里!」
「サボりすぎでしょ!」
教室に戻ると、
恵衣と麗華が待ちわびたと
言わんばかりの顔で待っていた。
「遅くなってごめん!」
「それより、どうだった?藤田、走ってた?」
サボる理由を知っている2人は、
あたしと一緒に秘密を共有してくれる。
あたしはさっきあったことを、
全て2人に打ち明けた。
「え、やばいじゃん!最高に幸せでしょ!」
「ふーん。やるな、藤田も」
はしゃぐ恵衣と、
意味深な発言をする麗華。
「何か一気に色々ありすぎて、混乱するよ…」
そういうあたしを見て、
2人は笑顔で肩を叩く。
「いいじゃん、いいことあったんだし!」
「そうだよ。ほら、お腹空いたしご飯食べよ!」
あたしは、大きく頷き
お昼のご飯を広げた。
好き、という気持ちが
今日だけですごくすごく増して。
あたしはもっと苦しくなった。
だけどやっぱり
どこか甘酸っぱくて。
嫌いになれたら、と
強く強く思った。