雨のち晴
3話 ◇溢れる気持ち.
軽快な音楽が鳴り響く校庭。
たくさんの人で賑わう駐車場。
今日は、イベントの1つ。
体育祭。
「ちょ、すごい人~!」
「わ、ほんとだ。多いね…結構」
教室から見える駐車場には、
大きな鞄をぶら下げた保護者だとか、
車両誘導の先生だとかで
溢れ返っていた。
「ちょっと、緊張するね…」
種目に出るせいか、
あたしの心臓はいつもより
バクバク言っている。
恵衣は100m走と
リレーで、
麗華は玉入れ。
あたしはというと、
何もしたくないと主張したところ
強制的に余ってしまった騎馬戦に。
そんな乱暴な競技に出るくらいなら、
もっと違うのに出る。
そう言ったのに、
もう決定したからと意見を跳ね除けられた。
「久しぶりに走るから、走れるかな~…」
「だよね。あたしこけちゃうかも」
2人は不安そうにしながらも、
やる気だけはあるようで。
あたしはそのはしゃぐ2人を
イスに座って眺める。
"全校生徒の皆さんはグラウンドに集合してください"
「そろそろみたいだね」
「何か柄にもなく緊張~!」
放送を聞いた生徒は、
一斉に動き始めた。
その後ろを3人で着いて行く。