雨のち晴














グラウンドに向かう途中。








「お」








会いたくない人に会ってしまった。


と言っても、会いたかった人。








「十夜…、おはよ」








「おっす。お前今日何出んの?」







「…、き、騎馬戦…だけど」











出来れば言いたくなかった。


こんな野蛮な名前。


絶対引かれ…









「ぷ…はは。騎馬戦、て」









腹を抱えて笑われた。


引かれたというよりも、


大爆笑の方。











「何…で、笑うの!」







「似合ってる。すっごい、騎馬戦て感じ」












嫌味が含まれた褒め言葉に、


あたしは返す言葉がない。


もう諦めて立ち去ろうとした時。











「十夜ぁ!遅くなってごめん!」











遠くから聞こえる、


耳に入れたくない甘い声。


パタパタと軽い足音が聞こえて、


視界に十夜とセットのように


引っ付く彼女。











「高原さん、おはよ?」











な、何が…おはよ?よ。


さっきもクラスでいたくせに。


この上目遣いが、


何とも気に食わない。












「お、おはよう…じゃ、行くね」











里菜ちゃんしか見れなくて。


十夜を見れば、きっと鼻の奥が


ツーンて痛くなる。

















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