雨のち晴
「十夜~!!頑張れっ!!」
目の前を通り過ぎる瞬間、
あたしは十夜に向かって
全力を振り絞り声を出した。
当然、余裕。
誰も相手になんてならなくて、
1人トップを独走している。
あたしはその姿を目に
焼き付けようと必死に
十夜を見た。
「ほんと、朱里はすごい」
麗華は隣で、
消えそうな声で
そう言ってくれた。
「朱里~!麗ちゃ~ん!」
テントに戻り、くつろいでいると
解散許可が下り、戻ってきた
恵衣が大声を上げあたし達の
前に倒れ込む。
「緊張した~…あ、声援届いたよ!」
恵衣は誇らしげな笑みを漏らし、
1着だったことをすごく
喜んでいた。