雨のち晴
「んじゃ、頑張って行きますか!」
おー!と、
あたしの掛け声の後に
ペアの皆が続いてくれた。
入場行進の曲に合わせて、
指定の場所まで移動する。
下になる3人が構え、
あたしは勢い良くその上に乗った。
「よーい…」
高い台に乗った係の人が、
思い切り笛を吹いた。
それを合図に、全員が
砂埃の中、競技が始まった。
「高原さん、頑張って!」
「大丈夫!大丈夫!」
「動きはあたし達に任せて!」
下の3人が、
励ますように声をかけてくれる。
あたしはそれに答えるように、
精一杯手を伸ばし続けた。
あとちょっと、あとちょっと。
そしたら帽子が取れる。
そんな時。
「きゃっ…!」
下の3人の1人が、
誰かに蹴られてしまった。
「大丈…夫、あ…やば、」
人の心配をしていたあたしは、
上にいる自分のことも忘れ。
バランスを崩したあたし達4人は、
その場に転倒してしまった。
「高原さんっ!」
誰かがあたしの名前を呼んでくれる。
が、高い所から落ちてしまった
あたしは驚きの余り、
声が出せないでいた。