雨のち晴
「朱里、寝てたでしょ?」
「…えっ」
「あたしも見た。気持ち良さそうだったね」
恵衣と麗華に追い込まれ、
授業中に寝ていたことがバレてないと
思っていたあたしは、素直に白状した。
「はい。…寝てました」
そう言うと、楽しそうに笑われ、
あたしは1人恥ずかしくて顔を上げられない。
「何、買おっかな~」
購買に着くと、台の上に
並んでいるパンを選び始める恵衣。
「あたし、これ。恵衣はどうせこれでしょ?」
「麗ちゃん、さすが!おばちゃん、これ下さい!」
くしゃくしゃの顔に笑みを浮かべた、
小さくて可愛いおばちゃんが
お金と引き換えにパンをくれる。
「ありがとね、恵衣ちゃん」
ゆっくりと話すおばちゃんは、
よく買いに来るあたし達の名前を
覚えてくれてるみたい。