雨のち晴
あたしがそう言うのに対し、
十夜は無視して行動を進める。
訳が分からず、
ただ背中に居座った。
「何するって…、決まってんだろ」
「え…、」
そのイスの上にあたしをゆっくり
下ろすと、十夜は目の前にしゃがんだ。
あたしはじっと、次の言葉を待って。
口が開かれたかと思えば、
すぐに顔が赤くなった。
「俺の応援。ここならばっちり、見れんだろうが」
あ、なるほど。
なんて強引な。
とか思いつつ、赤い顔を
隠すのに必死だった。
「じゃ、行くから。大人しくしてろ」
大きな手のひらが目の前に
来たかと思えば。
あたしの額を、軽く突付いて
その場を去って行った。
「何よ…もう、」
残されたあたしは、
何を呟くでもなく。
想いが思いになって。
声が漏れていた。