雨のち晴
4話 ◇愛しく切なく.
いつも間にか、
ラスト2種目になり。
「よーい…」
ピストルが鳴った。
女の子がきゃっきゃと
同時に走り出した。
あたしはテントから、
イスに座って光景を眺める。
「楽しそう…、いいな」
怪我をしてしまったあたしは、
元気に楽しく動けるみんなが
羨ましく思った。
今行われてるのは、借り物競争。
メモに書かれたものを持っていく、
というようなそんな感じ。
「赤いボール持ってる人!」
「水色のタオル!誰かぁ~!」
マイクに向かって、
次々に紙に書かれた内容を
声に出し、言われたものを
持っている人と一緒にゴールする。
というルールになっていた。
それを見ていた時。
一際目立つ、存在があった。
「え、っと…」
甘く、耳に残る声。
マイクの前でもじもじする、
可愛い女の子がいる。
見たくないのに、
視界に入ってしまう彼女。
咲坂里菜ちゃん。