雨のち晴
























「彼女に、なりた…ぃの」


















思わず声が出て。


思わず涙がこぼれて。


思わず想いが溢れて。


形の無い十夜への気持ちが、


押しつぶされそうで


すごくすごく、辛いの。





















「好き…、好きだよ、十夜…」

















聞こえてないことをいいことに、


想いを全てぶつけていく。


彼女になんてなれるわけがない。


そんなの分かってるけど。


今言わないと、言う時がない。


いつか言える時があったら。


好きだと言いたい。


叶うか、叶わないかなんて。


問題じゃないから。


















「だからその時は…」








気持ち、聞いてね。





































あたしは蚊の鳴くような声を、


しぼり出して伝えた。





















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