雨のち晴
「1日目終了~!」
がやがやする教室。
テストは午前中で終わりで、
午後からは下校。
恵衣は背伸びをして、
うーんと手を上に上げる。
「お昼どうする?」
「何か食べてこ!」
「恵衣、あんた明日もテストなの忘れてるでしょ?」
恵衣と麗華の話を聞きながら、
あたしは1人十夜を待つ。
「朱里、そわそわしてる」
「うきうきの間違いじゃない?」
そんなあたしを見て、
恵衣も麗華もからかってくる。
「そんなんじゃないもん」
そう言って廊下を見ていると。
待っていた姿が現れた。
入って来た瞬間、
里菜ちゃんが近づいたけど。
十夜はそれに気付いてなくて。
彼の瞳は、まっすぐ。
あたしを見ている。
「朱里」
あたしの名前を呼ぶ、
十夜の声を聞いた瞬間、
昨日の電話のことを思い出して。
1人少し恥ずかしくなる。
「あ、ノート…」
「さんきゅ。借りてく」
「あ、でもあたしも寝てて、汚い所とか本当あるから…っ」
そう言うと、十夜は
あたしのノートをペラペラとめくり。
「綺麗だって、言っただろ。お前が何言おうと借りてくからな」
十夜はあたしのノートであたしの
頭をこつんと突く。