雨のち晴





「危な…っ、」




麗華の声がしたけど、


そんなのはもう遅い。


曲がったと同時に、


誰かにぶつかるあたし。


真ん中にいたあたしが。


しかも2人より少し後ろで


歩いていたあたしが。


なぜか、あたしが。


誰かとぶつかった。





「朱里っ…、大丈夫!?」




恵衣があたしに駆け寄る。


ぶつかってしりもちついた


あたしのお尻と腰に、


衝撃が走る。





「痛っ…何、誰…」





目の前に立っている人を


見上げる。


ん?あれ?


この人…どっかで。






「あっれ、お前、昨日の…」




そうだ。


どっかで見たと思ったら、


昨日の!





「オレンジジュースの子!」





「うわ、最悪」





思わず、出た、最悪という言葉。


朝来て、遅刻しなかったことと、


テストのことと、十夜のことで


頭がいっぱいで。


コンビニでの出来事を話すことを、


すっかり忘れてた。





「ほら」





その人はあたしに手を差し出す。


これは、あれか。


立てよ、の手か。





「要りません。立てますから」





あたしはあえて無視をして、


自分て立ち上がった。




< 67 / 281 >

この作品をシェア

pagetop