雨のち晴
「おーわったー!」
連日続いたテストも、
今日をもって終了。
明日は球技大会で、
それが終わったら終業式。
で、夏休み。
「本当疲れたね、テスト」
「でも、もう終わったよ!夏休みだよ!遊べるよ!」
あんなに憂鬱そうにしてたのに、
終わったと途端のこの恵衣のひょうきんさ。
あたしは思わず笑ってしまう。
「じゃあ…、帰りま」
そう言いかけた時。
廊下が騒がしくなった。
何かあったのかな?
そう思っていると。
「高原朱里~。朱里~!」
廊下でそう騒ぐ声が聞こえてきた。
そして視界に入って来た、
廊下で女子に囲まれている
丘谷諒司の姿。
「朱里、先輩だよ…」
「めっちゃ朱里の名前呼んでるよ…」
恵衣も麗華も驚いてる。
何より、あたしが1番驚いてる。
「高原朱…、お!いた!」
廊下で好きなだけ騒いで。
教室の中にいるあたしを見つけると。
嬉しそうに笑って、教室に
入って来た。
「朱里、お前3組か」
「呼び捨てやめてください」
「朱里たん」
「は、気持ち悪いんですけど」
この男は、あたしの目の前に
現れて、勝手に人の名前を呼ぶ。
ついでに言うと、
この人と一緒に来た3人の先輩が、
恵衣と麗華に絡んでる。
どう考えても、
この場の、この教室の、
迷惑極まりない、この男。