雨のち晴
「硬いこと言うなよ、朱里。俺らの仲だろ?」
「はい?意味深な発言、やめてください」
あたしは鞄を持つと。
「恵衣、麗華、帰ろ」
2人に声をかける。
2人も急いで鞄を持つと、
あたしに続いて教室を出た。
「朱里、待ってって!朱里~!朱里って!」
朱里、朱里って、
うるさいんですけど。
っていうか、本当に
迷惑なんですけど。
「丘谷先輩」
いい加減にしてほしくて、
立ち止まり後ろを見る。
「諒司って呼んで?」
「…諒司、先輩」
「はあい?」
何なの、この人。
何でこんなにうるさいの。
何でこんなに喜んでるの。
意味分かんない。
「迷惑なんで、やめてください」
「朱里、冷たい~」
諒司先輩は、頬を膨らましている。
あたしは、何を言っても無駄だと思い、
恵衣と麗華に声をかけ、
再び玄関に向かって歩いた。
「諒司先輩の友だちの先輩も人気の人だよね」
「うん、そうだよ。でもかっこいいね、やっぱり」
下駄箱の前で、
2人はそんなことを話している。
あたしは、無視して靴を履きかえる。
後ろを見ると、諒司先輩の姿はなくて。
「よかった…」
ほっと一息つくと。
「朱~里!」
と、前から靴を履き替えた
諒司先輩が現れた。