雨のち晴
6話 ◇理解不能.
「球技大会だね」
「そうだね」
「やってきたね」
あたしたちは朝から、
教室でぐったり。
何だか、あんなに楽しみに
してた球技大会だったのに。
昨日の帰りの出来事で、
一気に嫌になってしまった。
「朱里」
そこに現れた。
あたしの好きな人。
「おはよう、十夜」
「これ」
目の前に差し出された、
あたしのノート。
と、あたしの好きな飲み物。
「わざわざ持ってきてくれたの?」
「本当は昨日渡すつもりだったけど、渡せなかった」
何だか、十夜の顔が暗い気がして。
覗き込むと、十夜は。
「お前らさ…」
そう言いかけて。
「やっぱ何でも。今日はライバルだからな。負けねえぞ」
十夜はそう言って、
教室を出て行った。
お前らさ…、の後に。
何を言おうとしてたんだろ。
あたしが気にしてると同時に、
恵衣も麗華も気にしていて。
思わず3人で悩みこんでしまった。