雨のち晴
ざわざわと、生徒の声で
賑わう体育館内。
球技大会は夏と冬の2回で、
夏はバレーボール、
冬はバスケットボールと、
全校統一。
結構広い体育館で、
バレーボール用のコートが
3面立てられるから、
ステージ側が3年、
真ん中が2年、そして
端が1年という風に決まっている。
あたしは、十夜にもらった
ジュースを飲む。
何だかやっぱり、美味しくて。
顔が緩んでしまう。
「球技大会を始めますので、全員体育館に集まってください」
ギャラリーにいた生徒は、
ぞろぞろとアリーナに降りて行く。
あたしたちも行きますか、と
立ち上がると。
向かい側のギャラリーに。
うるさいのがいて。
「朱里!」
出た。
あたしは正直、
そう思った。
「おはようございます」
いつの間にかこっちに来た4人の
先輩たち。
あたしたちは挨拶して、
横をスルー。
したつもりなのに、
諒司先輩は、なぜかあたしの
隣に並んで歩いている。