雨のち晴
「気にしない気にしない。ほら、行こ」
諒司先輩はあたしを誘導するように、
前で手招きをする。
本当に調子狂うな。
何でこんな調子なんだろう、この人。
そんなことを考えながら、
到着したアクセサリーショップ。
あたしよりも先に、
入って行った諒司先輩。
「初めて来た」
「でしょうね」
普通来ないでしょ、こんな
女性専門の店。
あたしはそう思いながら、
色々見て回る。
あ、あのイヤリング可愛いな。
あのネックレスも可愛い。
どれも目移りしながら、
1人で楽しんでいると。
「朱里、ちょっと!」
諒司先輩があたしの名前を呼んだ。
1人で楽しんでたのに、
仕方なく先輩の元に向かう。
「何ですか、もう」
「腕、出して」
ん?と思いながら、
はいと差し出す。
諒司先輩は何も言わず、
あたしの腕にブレスレットを
付けた。
「似合うと思った」
小さいビーズと、小さいガラス玉で
造られたブレスレット。
淡いブルーと白が特徴で。
あたしもすごく可愛いと思った。
「はい、おしまい」
諒司先輩はそう言って
あたしの腕からブレスレットを
取ると、元の場所に戻し。
他を見ようとあたしの手を引いた。
確かに可愛かったけど、
少し高かったから、
買うのはよそう。
あたしはそう考えて、
諒司先輩に連れられるまま
他を見ることにした。