雨のち晴
「それだけは勘弁。休みの間までお前らの顔、見たくねぇ」
嫌そうな顔を浮かべる十夜の発言に、
本気で怒りの顔を向ける恵衣と、
あたしも?と疑問を浮かべる麗華。
「いいもん!夏休み、あたし達3人で…っ」
「あ、それなんだけど」
恵衣の話を遮って、
話を始める十夜。
「夏休み、こいつ借りるわ」
…は?
「誰を?」
何のことか分からず、
目をまん丸にしたあたしは
十夜を見つめた。
「お前。委員の仕事、あんだってよ」
委員の…しご、と?
あたし…、
「緑化委員…」
ふと思い出した委員名を口にした。
そう、あたしは緑化委員なんだ。
「そう、それ。俺とお前、委員の仕事あるって」
入学してからまもなく。
クラスの委員決めがあって、
あたしはクジで緑化委員に。
十夜は休んでいて、
丁度空きがあった緑化委員の
男子枠に勝手に入れられた。
「え、仕事…?何の…?」
「水やりとか、植え替えとか。…あと、俺の補習の手伝いとか」
補…習?
あたしは開いた口がふさがらず、
十夜をじっと見つめてしまった。
水やりや植え替えは分かるけど。
…補習の、手伝いって。
何、それ?