雨のち晴
「もういい。気を付けて帰れよ」
それだけ聞こえて、
職員室を後にする。
それからどうやって帰ったかも
あんまり覚えてなくて。
部屋で1人、
あたしのこと好きって
思ってくれてたんだって考えながら。
その晩ずっと、
諒司先輩のことでいっぱいだった。
次の日、昨日のことを
2人に伝えると。
あたし以上にはしゃぎまくって、
嬉しそうに喜んでいる。
「てか、本当かっこいいよね!」
「噂なんて当てにならないね、まじで」
「ちょっと、あたしの気持ち無視ですか?」
あたしの話は何も聞いてくれなくて。
勝手に2人で騒いでいるだけだった。
「もういいです」
あたしは2人のテンションに
ついて行けず、
1人机に突っ伏す。
諒司先輩は、好きだって
言ってくれたけど。
やっぱり十夜のこと、
忘れられないしなぁ。
答え、出した方がいいのかな?
でも、ここで諦めるべきなのかな?
あたしは色んなことが頭を
ぐるぐる回っていて。
もう授業どころではなかった。