雨のち晴






後夜祭は外で小さな


キャンプファイヤーを作って、


その近くで催し物が行われる。


毎年恒例なのが、


朝礼台の上で好きな人に


告白するイベントと、


ビンゴ大会。


去年麗華がビンゴで、


学食1週間無料券をもらった。


あたしはそれがすごく羨ましくて、


今年こそは早くビンゴしてやろうと


ずっと前から思っていた。





「お~、いい所にいた」





そこに現れた、担任。


こいつが現れると、


ろくなことがない。




「高原、頼みがある」




「何ですか、嫌ですよ」





精一杯反発するけど。





「教室にうちのクラスのビンゴの紙を忘れて来たんだよ。取って来てくれ」




いつも担任には敵わない。




「嫌だって。自分で行けばいいじゃないですか!」




「俺とお前のよしみだろ?な、行ってきて」




「何、よしみって。じじくさ~」





あたしはなんやかんや言いながらも。


仕方なく取りに行く。





「朝礼台の所いるからね」




「すぐ行く!」





あたしは急いで玄関に向かって、


靴を脱ぐと、教室に向かって走った。


結構暗くなってきたし、


怖いな、なんか。


でもお化けなんていないさ、と


自分に言い聞かせながら


教室に行く。






「あった」





ビンゴの紙は机の真ん中に


置いてあって。


どうしたらこんな目立つ所に


ある紙を忘れていけるんだろう。


不思議に思ったけど、


担任がばかなんだと思うことにして


教室を出る。


そして、さっき来た道を


戻る。


ふと隣のクラスを覗く。


誰もいるわけない。


そう思っていたから、


すっごく驚いた。


教室の中に、人がいて。


さっきまでいなかったよね?


気付かなかっただけ?と、


自問自答して、目を凝らす。


暗いのに慣れて来たのか、


目に入ったその人は。





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